「手賀沼干拓を歩く」に参加して

 秋晴れの11月10日、「近世の手賀沼干拓」をテーマに総勢22人で手賀沼周辺を歩いてきました。企画・解説は中村勝・当会副代表、柏市教育委員会・高野博夫さん。
 現在、かつての手賀沼の半分にあたる約550ヘクタールが水田になっています。干拓・新田開発への挑戦は江戸時代から始まりましたが、利根川との水位の差がほとんどないために難航し、結局「成功」と言えるのは手賀沼単独の機械排水が可能になった昭和40年代。特に人力で堤を築いて干拓を試みた江戸時代は、多くの労苦をともなったにもかかわらず、すぐに堤が切れ、ほとんど失敗に終わりました。
 その江戸時代にはどのようなことが行われ、またどのような人がかかわったのか――関連する史跡・地域をまわり、当時の干拓と従事した人たちの生活を知ることができました。手賀沼干拓の伝説の中には「千間堤の人為的破壊」など史実とは違うものがあるようですが、現地に行くとそういった伝説が生まれた背景も理解できました。紅葉がすすむ秋の景色もきれいだったし……、とても楽しい一日となりました。柏市教育委員会と共催。
【ルート】移動はバス
柏市郷土資料展示室(柏市役所沼南庁舎)→香取・鳥見神社(布瀬貝塚)→浅間橋(千間堤跡)→相島芸術文化村(昼食)→発作村→*旧沼南・名主邸の長屋門

①柏市郷土資料展示室(柏市役所沼南庁舎)
解説(ブログ用)
▲まず最初に、中村副代表から郷土資料展示室前で「近世の手賀沼干拓」全般についてレクチャー
展示室(ブログ)
▲企画展「検地帳が語る柏の村々」を高野さんの解説で見学

②香取・鳥見神社(布瀬貝塚)
鳥見神社(ブログ)
▲香取・鳥見神社(柏市布瀬)。手賀沼低地に突き出した舌状台地の先端に位置し、中世の手賀原氏とのかかわりもあるなど、古くからの信仰の地。神社を覆う森は、長い年月が経ち植生があまり変化しなくなった「極相林」
鳥猟碑(ブログ)
▲鴨猟記念碑。手賀沼の鴨猟は、縄に鳥モチをつけ水面に浮かべる「ボタ縄猟」と、沼周囲に網を張る「張切猟」の組み合わせで行われ、秀吉や家康にも献上された
拝殿(ブログ用)
▲拝殿。以前は見事な透かし彫りが施された社殿だったが、残念ながら昭和61年に全焼。現在の本殿・拝殿はその後建て替えられたもの。天保6(1835)年の神社再建に際し、江戸の商人から「100両」「50両」という多額の寄付があったことが刻まれた石碑が残り、鴨猟の規模の大きさが推測される
komainuブログ
▲「狛犬」は火事にあっても無事だった。どっしりとして、彫りが深い
貝塚(ブログ用)
貝塚アップ(ブログ用2)
▲鳥見神社のある台地先端部分全体が貝塚になっている。今回は露出していて貝の化石がよく見える場所を見学

③浅間橋(千間堤跡)
浅間橋(ブログ用)
▲浅間橋(千間堤跡)。この橋のある場所に享保12(1727)年、有名な千間堤が築かれた。ただ7年後の同19年には利根川からの逆流を受けて決壊

④相島芸術文化村
相島案内(ブログ用)
▲昼食を兼ねて相島芸術文化村へ(我孫子市相島新田)。井上家の門・主屋・土蔵は国の登録有形文化財に指定され、公開されている。二番土蔵は水塚(みずか)の上に建てられ、湿気とりのためか、床面にシジミが敷きつめられるなど、干拓地ならではの工夫がされていた。ガイドはご親族の井上さん

新土蔵
▲昭和6年築の新土蔵は、コンサートなどイベント会場としても使用

相島(ブログ用)
▲井上家は享保期に干拓のために現地へ移住。長く水害に苦しめられたが、大正末期~昭和初期に12代・二郎が手賀沼の一部分を堤で囲い、機械排水に成功した。この建物は江戸末期築造、昭和初期改装の主屋
相島室内

貝合わせ(ブログ用)
▲貝あわせの貝も展示
相島食事(ブログ用)
▲定食を注文。このほかに庭になった柿やブドウもデザートに

⑤発作村
発作 (1)(ブログ用)
▲干拓のために移住してきた人たちが住んだ発作村(印西市発作)。写真の右は屋敷地で、周囲よりは高く土が盛られているが、干拓が成功するまでは洪水がおきると冠水したという
水塚(ブログ用)
▲水塚の上に建つ蔵。水塚とは、洪水に備え、屋敷地より更に高くした塚(土盛り)のこと
頌徳碑(ブログ用)
▲海野屋作兵衛の頌徳碑。海野屋作兵衛は、江戸時代初の本格的干拓「寛文期の干拓」に関わった人。開発は思うように進まず、当初の17人の仲間のうち、海野屋作兵衛以外はみな撤退した

⑥旧沼南町・名主邸
長屋門(ブログ用)
▲元名主邸の長屋門(柏市鷲野谷)。中世の高城氏からの書状も残る旧家で、ルートに近かったので、見学できることに。ありがとうございました!!

(2012.11.15 J.U.)



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